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温熱療法(おんねつりょうほう)

ガン温熱療法 2つの意義
熱を嫌がるガンの性質につけこむ!
人間の体を作っている一つ一つの細胞は、おおよそ43度くらいの温度で死ぬようになっています。ガン細胞も同じように熱に弱いのですが、ガンの構造上、正常な細胞よりも熱を苦手とする性質を持っています。たとえば人体のある部分が高温になると、血管を拡張して血流を増やし熱を他の部位に運んで分散することにより、熱が一箇所に集中して細胞が破壊されないようにします。ガン細胞は増殖するために栄養(糖)を摂り込む血管を新たに作ります。(血管新生)

ところが、このガン専用の血管は、正規の血管でなく急ごしらえのため脆く弱々しい構造になっています。しかも血管を広げたり狭めたりコントロールする神経とちゃんとつながっていないようです。そのため熱っせられ温度が上がっても、うまく血管を拡張できず熱を逃がすことができないので、ガン細胞は死滅します。正常細胞よりガンの部位は3度から3.5度ほど温度が上がるので、正常細胞で40度くらいの温熱をかけると、正常細胞は傷つかずにガン細胞は参ってしまうわけです。

この熱に弱いガンの性質を利用して、ハイパーサーミアやラジオ波、抗ガン剤の温熱療法、温熱免疫療法などが、直接ガン細胞を叩く方法として開発されています。これらの方法は、一時的にガン細胞を熱攻撃して死滅させるもので、治療的なガン温熱療法として一つの意義があります。

もう一つの意義は、実は体を温かい状態にしておくという単純なことが、ガンが発生し増えていくことに対抗するガン体質改善方法になるのです。ガン細胞は低体温、低酸素という体内環境を好むので、体を温めて血流を良くすることはガンにとって苦手な状況になります。さらに温熱することで、HSP(Heat Shock Protein:熱ショックタンパク)を効率よく発現させ、免疫力の向上、痛みなどの症状緩和などをもたらしてくれます。

古くから伝わる東洋医学や民間療法、温泉の湯治などは、HSP(Heat Shock Protein:熱ショックタンパク)という観点からしても理に適っているといえるでしょう。