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ガン患者さんの食事の心得(がんかんじゃさんのしょくじのこころえ)

体の細胞をつくる材料が間違っていてはガンを克服できない!
日本は年々ガンで亡くなる人が増えていますが、アメリカは国をあげての取り組みで、ガンによる死亡者を減らしています。そのなかの重要な対策が、食生活の改善です。簡単にいえば、アメリカ型の食事でなく日本の伝統的な食事を国民に推奨したのです。

私が本当の意味で食事の大切さを認識したのは、あるガン患者さんの会の勉強会に参加してからです。食事療法としては、ゲルソン療法、マクロビオテック療法、森下式などかなり厳格な療法もあります。それらは積極的なガン治療法として、強い決意をもってされている方もいます。ただ、ガン患者さんがふだんの生活で食事の楽しみも失わずに継続しやすいのは、和食、生食、玄米菜食だと考えます。
 
「医食同源」という言葉があるように、中国医学でも食べ物に持つ「食性」というものを大事にし、いくら適切な漢方薬を服用しても、逆の作用を持つ食品を摂っていては病気は治らない、というのが常識です。また、体質に合わない食事を続けることも病気のもとになります。例えば、かぜをひいて熱がある。漢方薬では、体の状態(熱が高いか低いかは問題ではない)によって温める薬を使う場合と、冷やす薬を使う場合がある。(世界各国のかぜの時の伝統的な養生法でも、しょうが湯を飲むといった温める方法から水風呂に入るといった冷やす方法様々だ) 温めなければいけない時に、キュウリ、ナス、トマト、レタス、柿、バナナ、そば、ウーロン茶などはダメである。冷やすべき時に、ショウガ、ヨモギ、ニラ、ニンニク、ネギ、ラッキョウ、シナモン(ニッキ)などはダメである。
 
このように病気を治したり、健康であろうとするなら、食べ物は重要です。ここでは、食事に対する考え方のポイントを挙げておきます。
 
●体質に合ったものを食べる
体質とは、民族と個人。どの民族もその土地の気候風土がもたらす食べ物によって、長い年月をかけて民族特有の内臓、身体の基礎ができています。急激な食生活の変化(戦後の欧米化)は、内臓や体に負担をかけまに。(草食動物なのに人間の都合で肉を食べさせられた狂牛病の牛が教訓となるか?)
 
食材の旬がなくなっている。冷え性の女性が、野菜を摂ろうとサラダ(レタス、トマト、キュウリなど)を年中食べていれば、身体が冷えてきます。じつは寒がりになったなという実感より先に、内臓が冷えます。子宮が冷えれば、生理不順、生理痛、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮ガンになりやすい。(ただし、食べ方の工夫で食材の性質の影響を少なくすることはできます)
 
●食べ過ぎ
とくに動物性の食事による、高カロリー、高タンパク、高脂肪、それと糖分(とくに精製された白糖)は、ガンが喜んで成長する食事といわれています。「病気になったら栄養のあるものを摂って休息する」という養生法は神話化されていますが、誤って理解されています。病気の時に肉など栄養価が高いものを摂ると、内臓の仕事量が増え病気を治すためのエネルギーが分散してしまう。動物が病気になったときどうするか? ただじっと横たわって治すことに集中する。そのときほとんど食べない。病気で食べれないのではない、治すために食べないのです。もちろん長期化する病気を治すのには、それなりの質のよい栄養は摂らなければなりません。

●まるごと食べる(玄食=げんしょく)
精製された食品(白米、漂白小麦粉、精製塩、白砂糖など)は、貴重なビタミン、ミネラル、酵素が失われています。とくにミネラルは、各種類が微量ながらもバランスよく存在しないと人体は機能しません。また、加熱調理することでも、これらの栄養素、酵素が失われます。ビタミン、ミネラル、酵素は治癒力の原動力です。生に近い状態でまるごと食べることは、ビタミン、ミネラル、酵素の消耗を防ぎ、かつ効率よく摂取できます。さらに、腸内をきれいにし良質な血液を作ることにもなります。。
 
さて「玄」という字は、古代中国では「生命の源」という意味で扱われています。キトラ古墳の壁画には、東西南北にそれぞれの守護神的な動物が描かれています。
 
 東:青龍(春)=青
 南:朱雀(夏)=朱(赤)
 西:白虎(秋)=白
 北:玄武=亀と蛇が合体した(冬)=黒
 
この東西南北と色の関係は、日本の国技である相撲の土俵にもみられます。青房、赤房、白房、黒房です。季節の順番は一般に春が最初ですが、中国では古くから冬から始まると考えました。冬というとなにか暗く、死に向かうイメージがありますが、実は生き物が誕生する前の種子としてエネルギーを蓄える時期を意味します。ですから順番としては、冬→春→夏→秋となります。人間の一生におきかえるならば、胎内(冬)→誕生・成長(春)→人生で最も活発なとき(夏)→人生の収穫(秋)となります。

つまり「玄」は、生命の発生する直前の生命エネルギーが充ちた状態、と解釈されてもいます。人間の楽しさや味の追求、商業的な効率が優先された食事は「玄」を取り除いてしまったものが多い。栄養素の面からみても、白米は玄米の胚芽や甘皮に含まれるビタミン、ミネラル、食物繊維を捨てていまっています。それらは体内の解毒をする作用もあるのです。
 
化学物質(農薬、食品添加物、化学薬品)にも気をつける必要はありますが、100%排除することは不可能です。それ以上に大切なのは、ガンが喜ぶ食事を止め、生命が喜ぶ食事を摂ることです。伝統的な日本食、玄米菜食がガン患者さんに支持されている理由は、実際に食べてみてその効果を実感されている方が多いからです。私が勉強させてもらっているガン患者さんの会でも、玄米菜食を体質改善として推薦しています。また食材をできるだけ生で食べる方法で、ガンを克服している方もいます。
 
アメリカの国立ガン研究所は1990年から、ガンなどの慢性病の発生を抑える効果の高い成分を含んだ食品の調査、分析をしました。その結果、ニンニク、キャベツ、大豆、ショウガ、ニンジン、セロリ、タマネギ、茶、ターメリック、玄米、全粒小麦、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、ピーマン、ブロッコリー、ナス、カリフラワーなど40種類以上の食品が「デザイナー・フーズ」という名称で推奨されています。