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ホメオパシー(Homeopathy)(ホメオパシー)

似たものが似たものを治す!
ホメオパシー(Homeopathy)は200年以上の歴史を持つヨーロッパでは代表的な代替補完療法。紀元前(ヒポクラテス時代)からあった医学的なアイディアを、ドイツ人のザムエル・ハーネマンが基礎的体系を確立しました。ホメオパシーはギリシア語のhomoeo(同類の)とpathyha(病・毒)という意味の言葉をくっつけた造語です。日本語では「同種療法」「類似療法」と呼ばれることもありますが、最近では「ホメオパシー」という療法名で浸透しつつあります。

ホメオパシーは現代の主流になっている西洋医学とはまったく発想を逆転した医学です。速やかに症状を抑えること(対症療法)に重きを置く西洋医学は、症状に対抗する・・・発熱なら熱を下げる、痛みなら痛みを抑える・・・薬を投与します。

一方、ホメオパシーは健康な人が服用すると現われる症状をもたらす物質を、その症状を持っている病気の人に与えます。発熱している人に発熱を促す物質を与える。これを「類似性の法則」(=似たものが似たものを治す like cure like)と呼びます。

もっとも、実際に症状を引き起こすような量を使うわけではありません。薬となる物質をほとんど水に近いくらい薄めて(希釈)使います。どのくらい薄めるかというと、イギリスの標準で30C。Cはセンテシマル(百分の一)という単位ですから30Cは3000倍に薄められています。しかもこの薄める時には震盪(しんとう=よく振る)ことが重要です。震盪という作業を加えることで、ほとんど水ながら物質のエネルギーが転写されているのではないかと考えられています。薄めれば薄めるほど作用が強くなるところも、通常の薬(容量依存)とはまったく逆です。これを「最小有効量の法則」と呼びます。

このようにホメオパシーは、「類似性の法則」と「最小有効量の法則」という二つの大きな特徴を持つ医学です。なぜ効くかということは解明されていませんが、ヨーロッパの多くの国では健康保険が適応され、フランスやドイツでは必ず医師が処方する決まりになっています。

希釈と震盪で作られる薬は「レメディー」と呼ばれます。前述のようにレメディーは通常の薬のような作用をすることなく、病気の人の自然治癒力を刺激・喚起するする目的で使われます。レメディーは3000種類以上あり、多くは植物、動物、鉱物が原料になっています。

一つの症状に適応するのが一つのレメディとは決まっていません。個々の患者さんの特徴を把握し、最も適したレメディを選ぶのがホメオパシー医の力量です。患者さんの症状のパターンに最も似ているパターンを持つレメディを選択します。そのための問診は、身体症状、生理症状(体の冷え、汗、睡眠、食べ物の好みなど)、精神面(感情、意思、記憶、夢など)に及びます。(漢方の問診に近いように思いました)

ガンに対するホメオパシーの意義は、ガン自体を直接治療するのでなく、補完的に用いて日常生活をより良く過ごせることにあります。

*抗ガン剤や放射線治療による副作用軽減
*ガンによる諸症状(食欲不振、貧血、便通異常、むくみ・・・など)の改善
*体質別レメディによる対応(心身のエネルギー底上げ)
*心のケア(不安・抑うつ)

人間としての基本的な身体的、精神的営みができることは、気力・体力面を充実させてくれます。患者さん本人、ご家族にとっても明るく前向きになれる要素です。とくに苦しい治療や、つらい症状は、不安やうつを増長させ闘病の意欲を削ぎ、生きる希望を萎えさせます。ホメオパシーが精神性の改善にも有用であるというのは朗報です。

日本にホメオパシーが導入されたのは1995年頃です。2000年にホリスティック医学の第一人者 帯津良一先生を会長として医師、獣医師からなる日本ホメオパシー医学会が設立されました。(同じような名称で日本ホメオパシー医学協会、日本ホメオパシー振興会という組織がありますが別者です)

日本の現状はホメオパシーに関する法的環境がありません。そのため医師以外の「ホメオパシー業者」がレメディを販売することができます。しかし、ホメオパシーを安易に用いることは危険な面もあります。人体の生理や病気の医学的知識を持った上でホメオパシーを使わないと、効果が得られないばかりか病気を悪化させる懸念もあります。従って、医師によるホメオパシー治療を受けることが望ましいといえます。