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ハイパーサーミア(はいぱーさーみあ)

熱に弱いガン細胞の特性を利用した温熱療法
「ハイパーサーミア」とは、医学的な温熱療法のことです。とくにガンの温熱療法のことを指す用語として用いられます。

人間の細胞はほぼ43度くらいで死んでしまいます。これは正常な細胞も、ガン細胞も同じです。ところが、正常細胞に比べガン細胞のほうが構造的に熱に弱い性質になっています。このガン細胞が熱に弱い性質を利用して、温熱による治療ができるのです。

通常、人体のある部分が高温になると、血管を拡張して血流を増やし熱を他の部位に運んで分散することにより、熱が一箇所に集中して細胞が破壊されないようにします。一方、ガン細胞の血管は脆いので、拡張することができません。そのため、40度くらいの熱でも、正常細胞は無事ですが、ガン細胞には熱がこもって死滅してしまうのです。

ハイパーサーミアとして医療機関で使用される機器は、ラジオ波やマイクロ波を使っています。

ラジオ波は周波数30~300MHz(波長100km~1m)の電磁波です。ラジオ波を使ったハイパーサーミアでは、体を挟む2枚の電極間に電流を流してジュール熱で温熱します。

マイクロ波は300MHzから300GHzの波(波長:1mm~1m)の電磁波です。電子レンジや携帯電話もマイクロ波です。。

マイクロ波を使ったハイパーサーミアでは、体内でのマイクロ波のエネルギーが熱に変わって温熱します。

日本ハイパーサーミア学会によれば、ラジオ波はエネルギーの集中性は低いが波長が長いので、体の深い部分を温めるのに適している。また、マイクロ波は短波長なので、表在性のガンや食道など体腔内の温熱に適しているそうです。

ハイパーサーミアはガン細胞を殺す目的で使いますが、抗ガン剤や放射線との併用でも効果が期待されています。抗ガン剤の量が少なくて効く、また放射線の感受性が高まるといった研究もされています。免疫療法に温熱療法を組み合わせて行う方法もあります。