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市川式お手当て法(いちかわしきおてあてほう)

伝統的なお手当て法でのガン対処
2004年11月、NPO法人 ガンの患者学研究所が主催する市川式手当て法の実習会に参加してきました。「お手当て」は文字通り、体の外から体調を整える外治療法です。東洋医学的な健康の3原則は
 
1.出す・・・・その人にとって不要なもの余分なものを排泄する
2.入れる・・・栄養素、熱エネルギーなど体が機能するために必要なものを入れる
3.巡らす・・・質の良い気、血液、体液が循環している
 
この3原則が乱れると、病気になったり、治癒力が低下します。伝統的な医学や民間療法は、大方この原則を整えると考えてよいでしょう。
 
漢方→煎じ薬、丸薬、散剤といったお薬で、瀉(排泄)、補(補充)、行(巡らす)をします。
鍼灸→ツボを刺激して滞りを取り除き巡らす。
気功→自然の中にある天と地のエネルギーを取り入れ巡らす。
 
外治療法はとくに「出す」と「巡らす」が優れています。「出す」は、小便、大便、汗の3つの経路からですが、市川式お手当て法は、汗によって悪いものを排泄します。漢方ではこれを「汗法(かんぽう)」と呼んで、正式な治療法の一つです。
 
抗ガン剤や放射線治療中の方、骨転移などで疼痛に苦しんでいる方、再発・転移をした方、再発の不安のある方などが利用されています。
 
手当て法の一例
 
《全身ショウガ罨法(あんぽう)=生姜シップ》
●生姜粉末、天然塩、ビワエキスを入れたお湯を浸し絞った専用のタオルで、背中側とお腹側に分け決められた数ヶ所に当てる。レジャーシートで防水しその上から毛布などで覆い保温する。それぞれ20分ほどそのまま保温し、最後に固く絞った冷たいタオルで全身を拭う。
 
《ビワの葉療法》
①ビワ葉を患部に貼る方法
●びわ葉のつるつるした方を肌に当てる。
●油紙かラップで覆い、サージカルテープでとめる。
 
②金地院療法
●2枚にビワ葉を用意する。
●つるつるの方を火にあぶり、2枚を合わせて10回程こする。
●患部を葉でマッサージする。
 
③ビワの葉のコンニャク温シップ
●コンニャク2丁半、タオル4枚、ビワ葉4枚、コンニャク2丁がゆったり入るくらいの鍋を用意。
●コンニャク2丁をゆでる。
●ビワ葉のつるつるの方を肌に当て、その上からゆでコンニャクを置く。
●約30分(途中冷めたらまたゆでて)温め、1分冷水で絞ったタオルで冷やす。
 
《手足温浴》
心臓から遠く離れている手足は血液が循環しにくく、血流が滞りがちになります。血液の停滞は全身の円滑な代謝を妨げることがあります。手足の温浴刺激によって末端の血液循環が良くなると、身体全体が活性化します。冷え症の方、顔や上半身がのぼせるが足は冷たい方などは、体全体を温めなくても、末端の手足を温めるだけで改善されます。
 
風呂やサウナのような全身浴とちがい、心臓に負担をかけないので、ご年配の方、小児、病弱、虚弱な方でもできます。
●手足温浴にする浴剤を煎じて、ポットなどに保温しておきます。
●足湯ができるタライ、容器、手は曲げた肘がつかるくらいの容器を用意する。
●やや熱めのお湯~ぬるま湯に煎じた浴剤を時々足しながら、20分温浴する。
●最後に冷たく絞ったタオルで拭う。
 
手足温浴に適した浴剤
・大根干葉 ・乾燥よもぎ ・イチヂク ・天然塩 ・生姜 ・ドクダミ 
・漢方薬草(ガイヨウ、センキュウ、チンピ、トウキなど)
 
この療法では、低温やけど、発汗過多には注意しましょう。病気によって皮膚や体力が弱っていると、やけどしやすかったり、発汗による体力低下を招きます。汗というのはかきすぎると、大切な体液を喪失することになります。水分補給やその日の体調で、お手当ての加減をするといいでしょう。
 
この他にも、ビワ葉塩温石、ヘソ灸、唐ゴマと彼岸花の球根による水抜き、などの療法があります。実践してみたい方は、自己流でやるのではなく、市川先生のご指導を受けられることをおすすめします。ご希望の方は編集長宛にメールを送ってください。ご案内いたします。
 
もうひとつこの療法のいいところ、それはご家族の方の手助けが要ることです。手間隙かかることをご家族と共同作業する。しかもスキンシップ効果も得られる。まさしく、旅は道連れ。